SOAPの基本|看護学生向けにわかりやすく解説


あこ先生が解説します
15年以上にわたり実習指導教員として、看護学生が実習で直面する悩みや不安に寄り添ってきました。
ナース専科や医教コミュニティでの執筆経験も活かし、実習に役立つヒントや考え方をわかりやすくおお届けしています。
SOAPは、看護実習でよく使われる記録の書き方のひとつです。
ただ、アルファベットの意味はなんとなく知っていても、「それぞれに何を書けばよいのか」がわかりにくく、手が止まってしまうこともあるのではないでしょうか。
この記事では、SOAPを書くときに押さえておきたい基本を、ひとつずつ解説していきます。
読み終えるころには、SOAPの全体像が見えてきて、「こういうふうに考えればいいんだ」と感じられるはずです。
SOAPとは?基本を押さえよう
SOAPは、看護実習でよく使われる記録の書き方のひとつです。
次の4つの項目に沿って、患者さんの状態や経過を整理し、よりよい看護援助につなげていくために用いられます。
S:主観的データ
O:客観的データ
A:アセスメント
P:計画
最初はむずかしく感じるかもしれませんが、ひとつずつ順を追って理解していけば、少しずつ書けるようになります。
まずは、SOAPの各項目がどのような役割を持っているのかを、ひとつずつ見ていきましょう
SOAPの4項目を理解しよう
S:主観的データ
Sには、患者さんや家族が話したことを書きます。
たとえば、「おなかが痛い」など、言葉として聞き取れた内容がここに入ります。
手話や筆談を通して伝えられた内容も、Sに含まれます。
ここで押さえておきたいのは、自分が見て感じたことや推測したことは書かないということです。
たとえば、「おなかが痛くてつらそう」「おなかが痛いのかもしれない」といった内容は、患者さんや家族が実際に伝えたことではありません。
Sを書くときは、あくまで患者さんや家族から伝えられた内容を整理することが基本です。
O:客観的データ
Oには、観察したこと、測定したこと、記録から確認できたことを書きます。
たとえば、バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、呼吸数)や検査データ、聴診や触診から得られた所見などがここに入ります。
また、実際に行った看護や、そのときの患者さんの反応を書くこともあります。
たとえば、「クーリングを行った」「体位を整えた」「ペインスケールが3から1に変化した」など、実際に行ったことや、そこから確認できた事実はOに含まれます。
Oを書くときに押さえておきたいのは、自分で見て確認できた事実を書くということです。
患者さんが「おなかが痛い」と話したことはS(主観的データ)ですが、腹部の張りや腸蠕動音など、観察から得られた情報はO(客観的データ)として整理します。
Oを書くときは、観察や測定、記録から確認できた内容を整理することが基本です。
A:アセスメント
Aには、S(主観的データ)とO(客観的データ)をもとに考えたことを書きます。
ここでは、集めた情報をそのまま並べるのではなく、今の患者さんの状態をどのように判断できるかを整理していきます。
たとえば、今どのような状況だといえるのか、なぜそのように判断できるのか、今後どのようなことに注意が必要かを考えます。
そのときは、病気や治療の基礎知識、検査データの基準値、患者さんの個別性などをふまえながら、なぜそのように判断したのかを、根拠をふまえて説明できるように整理していくことが大切です。
p:計画
Pには、A(アセスメント)をもとに、今後どのように対応していくかを書きます。
たとえば、どのような変化に注意して観察していくか、どのような援助を行うか、どのような説明や指導を行うかなどを考えます。
ここでは、患者さんの状態に合わせて、看護者としてどのように行動するかを具体的に整理していくことが大切です。
Pで考えたことは、次の日の行動計画や看護計画に反映させながら、実践に活かしていきましょう。
SOAPを書くときの基本ポイント
SOAPを書くときは、各項目の意味を理解するだけでなく、情報をどう整理し、どうつなげて考えるかを意識することも大切です。
ここでは、必ず押さえておきたい基本のポイントを4つお伝えします。
最初から全部を書こうとしない
SOAPは、S・O・A・Pの4つの項目に分かれていますが、頭の中で整理できていないうちに、いきなり書き出そうとすると、かえって混乱しやすくなります。
まずは、S情報とO情報を整理することから、ひとつずつ順を追って取り組んでみましょう。
最初に情報を整理しておくと、そのあとAやPも考えやすくなります。
慣れないうちは、「これはSかな」「これはOかな」「Aには何を書こうかな」と考えながら、まずはノートに箇条書きでまとめてみるとよいでしょう。
いったん考えをまとめてから書き始めると、記録全体の流れがつかみやすくなり、より伝わりやすい記録につながります。
必要な情報を選んで書く
SOAPでは、集めた情報をすべてそのまま書けばよいわけではありません。
今の患者さんの状態を考えるために必要な情報を選んで書くことが大切です。
たとえば、発熱している患者さんについて記録するときは、体温の変化や脈拍、呼吸数、寒気の有無、水分摂取の状況、表情、患者さんの訴えなど、そのときの状態を考えるために必要な情報を整理して書いていきます。
一方で、その場面の判断や対応に結びつかない情報まで並べすぎると、かえって今の患者さんにとって何が大事なのかがわかりにくくなることがあります。
「今の状態を考えるために必要な情報か」 を意識しながら、書く内容を選んでいきましょう。
簡潔・正確に書く
SOAPでは、情報をたくさん書けばよいわけではありません。
必要なことが、読み手にわかりやすく正確に伝わるように書くことが大切です。
たとえば、「落ち込んでいる様子」「つらそう」といったあいまいな表現だけでは、患者さんの状態が十分に伝わらないことがあります。
そのため、患者さんからどのような発言があったのか、どのような表情やしぐさが見られたのか、観察や測定の結果はどうだったのかなど、できるだけ具体的に書くことを意識すると、患者さんの状態や経過が伝わりやすくなります。
また、内容が長くなりすぎたり、同じようなことを重ねて書いたりすると、何が大事な情報なのかが見えにくくなることもあります。
だれが読んでも同じように理解できるかを意識しながら、必要な情報を簡潔にまとめていきましょう。
各項目のつながりを意識する
SOAPは、ただ項目ごとに情報を並べればよいわけではありません。
それぞれの項目がどのようにつながっているかを意識することも大切です。
たとえば、
という流れで考えると、記録全体を整理しやすくなります。
SとOを書いたあとにAやPがつながらなくなったときは、「この患者さんはいまどんな状態なのかな」 と考えてみると、流れが見えやすくなります。
まとめ
SOAPは、S・O・A・Pの4つの項目に沿って、患者さんの状態や経過を整理する記録の型です。
S:患者さんが話したこと
O:観察したこと、測定したこと、記録から確認できたこと
A:SとOをもとに考えたこと
P:今後の対応や援助の方向性
SOAPは、基本の型を押さえるだけでも、記録の流れが見えやすくなります。
まずは、それぞれの項目の役割を理解することが、SOAPを書く第一歩です。
慣れないうちは、必要な情報や考えをひとつずつ整理しながら書いていけば大丈夫です。実習を通して少しずつ慣れていくうちに、下書きをしなくても流れに沿って書けるようになっていきます。
最初はうまく書けなくても焦らずに、少しずつコツをつかんでいけるとよいですね。
