看護実習初日の目標の立て方|例文つきでわかりやすく解説

あこ先生が解説します
15年以上にわたり実習指導教員として、看護学生が実習で直面する悩みや不安に寄り添ってきました。
ナース専科や医教コミュニティでの執筆経験も活かし、実習に役立つヒントや考え方をわかりやすくお届けしています。
実習初日の目標、どう書けばいいか迷っていませんか?
例文を探してみても、自分にぴったり当てはまるものがなかなか見つからない。かといって、少し言い換えてみても、どこかしっくりこない。「本当にこれでいいのかな」と不安になる・・・そんな経験はありませんか?
実習初日は、実習の流れも、患者さんのこともまだよくわからない状況で、目標を立てなければならないので、難しく感じるのは当然のことです。
この記事では、自分の実習に合った目標を立てるための手順や考え方を、例文を交えてわかりやすく解説します。読み終えるころには、「こう考えれば、自分でも書けそう」と感じられるはずです。
どの領域の実習にも使える考え方なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目標を立てる前に知っておきたいこと
実習目標・行動目標・看護目標の違いを整理する
目標を立てる手順に入る前に、用語を整理しておきましょう。
実習目標・行動目標・看護目標の3つは混同しやすいため、ここで違いを確認しておくと、この後のSTEPがスムーズに理解できます。
実習目標と行動目標の違い
看護実習の目標には、「実習目標」と「行動目標」の2種類があります。
実習目標とは、実習を通して学生にどのような力を身につけてほしいかを、学校が示した目標です。
シラバスや実習要項には、実習で学ぶべき「実習目的」と、その目的を達成するために何ができるようになるとよいかを示した「実習目標」が書かれています。まずは、ここに書かれた実習目標を確認するところから始めてみましょう。
一方、行動目標とは、学生自身が実習中に毎日立てる目標です。
実習目標をもとにして、「今日は実習目標を達成するために、どのように行動するのか」を具体的に示したものです。
この2つは、学校が示した実習目標という大きなゴールに向かって、学生が行動目標という日々の一歩を積み重ねていく関係にあります。
※この記事でお話しする「看護実習初日の目標の立て方」では、この行動目標を立てる手順や考え方をご紹介します。
看護目標との違い
実習中に立てる目標として、「看護目標」という言葉を耳にすることもあるかもしれません。
しかし、看護目標は実習目標・行動目標とは、役割が異なります。
看護目標とは、患者さんが回復し、その人らしく生活できるように、目指すべきゴールや看護の方向性を示すものです。
実習目標・行動目標が「学生自身が学ぶための目標」であるのに対し、看護目標は「患者さんのための目標」である点が、大きな違いです。少しわかりにくく感じるかもしれませんが、一緒に整理していきましょう。
| 種類 | 誰が立てるか | 対象 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 実習目標 | 学生 | 学生自身 | 実習を通して学生に身につけてほしい力を示した全体目標 |
| 行動目標 | 学生 | 学生自身 | 実習目標を達成するためのその日の具体的な目標 |
| 看護目標 | 学生(看護師) | 患者さん | 患者さんの回復・生活の質の向上を目指した看護の目標 |
看護実習で目標を立てるとどう変わるかを知る
目標を立てるだけで、実習への取り組み方が次の4つの面で変わってきます。
気になる項目をクリックして、内容を確認してみましょう。
目標がないと、観察・ケア・記録・報告など、目の前のことをこなすだけで精一杯になり、何のために実習をしているのか、わからないまま時間が過ぎてしまいます。
一方、目標があると「今日はこれを学ぼう」とゴールが決まるので、限られた時間の中で何を大切に行動すればよいか、自然とわかるようになります。
目標がないと、自分の苦手なことや伸ばしたいことがぼんやりしたままで、実習が終わっても「今日も大変だった、疲れた」という気持ちだけが残ってしまいがちです。
一方、目標があると「今日はこれができた」「ここはまだ難しかった」と、その日の行動を具体的に振り返りやすくなるため、自分の成長や次の課題が、はっきりと見えてきます。
目標がないと、教員や指導者も「この学生は何を意識して実習に取り組んでいるのか」がわかりにくく、どのように指導すればよいのか、迷ってしまいます。
一方、目標があれば、「今日はこの目標を達成するために、このように行動しました」「その結果、患者さんからこのような反応が得られました」と伝えられるので、自分の行動や患者さんの状況に合ったフィードバックやアドバイスを受けやすくなります。
目標がないと、実習をこなすことに追われるだけで、自分が成長していることに気づきにくくなります。
一方、目標があると、小さな達成にも気づきやすくなり、「できた」という実感が自信となって、次の実習や新たな学びへの原動力になります。
このように、目標があるかどうかで、「何となく終わってしまった実習」になるか、「たくさん学べた」「成長できた」と感じられる実習になるかが大きく変わってきます。
目標は「書かなければならないもの」ではなく、自分の実習をより豊かにするための道具といえます。
だからこそ、例文に頼りすぎず、自分に合った内容を考えて立てられるようになることが大切です。
実習初日の目標の考え方を学ぶ
実習初日は情報収集がメインになります。そのため、「できるようになること」よりも「知る・把握する・確認すること」を中心に考えると、目標を立てやすくなります。
実習初日の目標は「実習目標を達成するために必要な情報を知ること」と押さえておきましょう。
どの領域でも使える!看護実習の初日の目標の立て方
実習初日は、患者さんのことも病棟の流れもまだわからない状態で目標を立てなければなりませんが、次のSTEPに沿って進めていけば、自分でも書けるようになります。
難しく考えすぎず、一緒に取り組んでみましょう。
実習目標を確認する
はじめに、シラバスや実習要項に書かれている実習目標を確認してみましょう。
実習目標の達成度は成績評価にも大きく影響するので、実習が始まる前に必ず目を通しておいてくださいね。
「この実習では、最終的にここを目指すんだ」となんとなくイメージがつかめたら、次のステップに進みましょう。
実習目標を達成するために必要な情報を整理する
実習目標が確認できたら、次はその目標を達成するために「どんな情報が必要か」を考えてみましょう。
はじめての実習でイメージがわかない場合は、下の表を見てみてください。実習目標ごとに、必要な情報の例を紹介しています。
| 実習目標の例 | 必要な情報の例 |
|---|---|
| 対象者の生活の場を理解する | 病棟の概要・構造・設備・病棟の日課など |
| 看護過程を展開し、対象者のニーズに応じた看護援助を実践できる | 患者さんの症状・治療・検査データ・現在行われている処置や看護援助など |
| 看護チームの機能と役割を理解し、チームの一員としての責任ある行動がとれる | 病棟スタッフの役割・勤務形態・看護体制など |
情報が得られる場面を考える
STEP2で考えた情報が、「実習のどの場面で得られるか」を考えてみましょう。
はじめての実習でまだイメージがわかない場合は、下の表を参考にしてみてください。実習初日によくある場面と、そこで得られる情報の例を紹介しています。
| 場面 | 得られる情報の例 |
|---|---|
| 病棟オリエンテーション | 病棟の概要・構造・設備・病棟の日課・病棟スタッフの役割・勤務体制・看護体制など |
| 電子カルテからの情報収集 | 患者さんの症状・治療・検査データ・現在行われている処置や看護援助など |
| 患者さんへのあいさつ | 患者さんの表情・顔色・呼吸状態・姿勢・動作など |
テンプレートに当てはめて文章を作る
STEP1〜4で整理した内容を、次のテンプレートに当てはめます。
【STEP1 実習目標】を達成するために、【STEP3 情報が得られる場面】を通して【STEP4 必要な情報】について知る(情報収集する/把握する/確認する)
文末は「知る」のほか、「情報収集する」「把握する」「確認する」などに置き換えてもかまいません。
「頑張る」「意識する」のような表現は、できたかどうかの受け取り方が人によって変わってしまいます。だれが見ても客観的に「できた」「できなかった」が判断できる表現を選びましょう。
文章を整えて完成させる
テンプレートに当てはめた文章を読み返して、言い回しを自然に整えましょう。
「〜するために」「〜を通して」「〜について知る」の流れがスムーズにつながっていれば、完成です。お疲れさまでした!
【実習目標】対象者の生活の場を理解する
対象者の生活の場を理解するために、病棟オリエンテーションを通して、病棟の概要・構造・設備・病棟の日課について知る。
【実習目標】看護過程を展開し、対象者のニーズに応じた看護援助を実践できる
看護過程を展開し、対象者のニーズに応じた看護援助を実践するために、電子カルテの閲覧・患者さんへの挨拶を通して、患者さんの症状・治療・検査データ・現在行われている処置や看護援助について知る。
【実習目標】看護チームの機能と役割を理解し、チームの一員としての責任ある行動がとれる
看護チームの機能と役割を理解するために、病棟オリエンテーションを通して、病棟スタッフの役割・勤務形態・看護体制について知る。
まとめ
実習初日の目標は、「実習目標を達成するために必要な情報を知ること」をゴールにして、「何のために」「どのような場面で」「何を知るのか」を、自分の実習目標と見比べながら一つひとつ整理していきましょう。そうすれば、自分なりの目標が立てられるようになりますよ。
自分の言葉で目標を立てられるようになると、実習で何を意識して行動すればよいかが明確になり、自信を持って実習に向き合えるようになります。
ここまで読んでも「やっぱり一人では難しいな」「自分の実習にどう当てはめればいいかわからない」と感じたときは、あこ先生の個別指導を活用してみてください。ひとりで悩み続けるよりも、一緒に考えた方が、きっとスムーズに準備できて、自信を持って実習初日を迎えられますよ。
『一緒に考えてほしいな』と思ったら、お問い合わせページからお気軽にご相談くださいね!

